韓国映画『国際市場で逢いましょう』を観た。
最近、韓国映画のレベルが高いことを耳にするが、この映画もAmazonプライムのユーザ評価点が高く視聴ボタンを押した。国や世代を越えて多くの人に感動を与える映画だと思った。
鑑賞後ネット検索してみると、韓国映画史上2位の観客動員数(1420万人)を達成した大ヒット映画だったそうだ。朝鮮戦争後の韓国が歩んできた激動の半世紀の中で、苦労しながら一家を支える長男、家族の絆の物語に感動する。
あらすじ (KBSWorldホームページより引用)
朝鮮戦争時の興南撤収作戦による混乱の中、父親そして妹のマクスンと離ればなれになってしまったドクス。母親と幼い弟妹と共に避難民として、釜山の国際市場で叔母が経営している小さな露店「コップンの店」に身を寄せることになる。やがてたくましく成長したドクスは、父親の代わりに家計を支えるため、西ドイツの炭鉱への出稼ぎやベトナム戦争で民間技術者として従事するなど体を張って働き、幾度となく生死の瀬戸際に立たされる。しかし彼は家族のために、いつも必死に笑顔で激動の時代を生き抜いてきた。
監督・脚本脚色:ユン・ジェギュン
ドクス(父との約束を果たすため、家族のために生きた男)/ファン・ジョンミン
ヨンジャ(ドクスの妻)/キム・ユンジン
ダルグ(ドクスの親友)/オ・ダルス
(2014年・127分)
感想
戦後の韓国がおかれた歴史の中で生きる市井の人々の、様々な苦労に思いをはせる映画だった。考えてみれば第二次大戦や朝鮮戦争は、韓国人が自ら仕掛けた戦争ではない。客観的に見れば、韓国はこの1世紀の間に他国に国土を蹂躙され、民族が二つに分断されてしまった悲劇の国である。
太平洋戦争後、幸いにも戦火を免れ高度経済成長に専念することができた日本人は、日米の経済支援との引き換えに、ベトナム戦争に兵隊を送り出すことになった韓国の歴史的経緯など知る由もない。この映画はそうした彼らの苦渋の歴史を、家族を支えるためには海外に行くこともいとわない笑顔の長男というオブラートで包み、内外の視聴者に戦争が生みだす悲劇を訴えている。
1980年代、KBSは朝鮮戦争で離ればなれになった家族を探す機会を提供する番組を企画した。その番組の中で、ついにドクスは探し続けた妹のマクスンとの再開を果たす。時を同じくして日本でも中国残留孤児を探す取り組みが始まったが、その再開シーンとも重なり感動と涙を誘う。韓国では朝鮮戦争で南北合わせて1千万の離散家族が生まれたとも言われており、日本人以上に辛い戦争体験をしている人が多いのだ。
今、日韓関係は政治的に最悪な状況にあるが、権力が作り出したプロパガンダにおどらされてはならない。程度の差はあれ国家間の争いでは、いつも善良な一般大衆が同じ苦労を強いられているのだ。だから国民レベルでは友好な関係の構築に努め、本当の敵である海外資本・国家権力にともに打ち勝たねばならぬ。韓国と日本の映画監督が手を携え、そんなメッセージ性のある作品を作ってくれないだろうかと思った。
―監督がこだわったところ、苦労した部分はどこでしょうか?
まず親世代、子世代の両方に見てもらって、がっかりさせず、納得してもらいたいという使命感を感じていました。今も存命の、戦争の廃墟を体験した人たちに、「リアルじゃない、こんなんじゃなかった」と思われないようにしようと苦心しました。友人のお母さんもあのヴィクトリア号で逃れてきたのです。
ドイツの部分も資料を探して、交渉を経る作業が続きました。それからリアルであると同時に、若い人たちがこの映画を見て楽しんでくれることも考え、重くなりすぎないよう、軽いシーンも入れました。ダルス扮するタルグが登場するところで笑えるように、またナム・ジンやヒュンダイの創始者たち実在の人物を盛り込んでいきました。
参考URL:
https://www.seniorcom.jp/features/view/173
http://eigato.com/?p=21662