四国遍路パート2 第9日目(2月28日)

■お遍路第9日目(2月28日) 曇り後雨

今日は午後から大雨の予報だったので、行動は13時で止め、午後は旅館でゆっくりし明後日以降の行動計画を練ることにして、民宿磯屋を出発した。
愛南町から隣の津島町の間には標高470メートルの柏峠があり、この遍路道が結構大変だと宿で聞いたので心して向かった。感覚的には入笠山の登山と同じ位のアルバイトで、下り道も比較的緩やかな尾根道だったので、スピードを落とさず下ることができ、予定より1時間ほど早く目的地の大畑旅館に到着してしまった。

柏峠に着くと、上空をプロペラ機が飛んでいるようなゴーンという低い音がする。その音がどんどん大きくなるので見上げてみると、林の合間から風力発電の塔が確認できた。風力発電の騒音が公害問題になっているが、この音がそうかと思った。ちょうど風も強くなっており、森の中の不気味な音は怖かった。

峠からしばらく進むと視界が開ける場所があり、愛南町の突き出た半島が見えた。天気の良い時は遠く九州まで見えるそうだ。

柏峠下から湯の川海岸方向を望む

▼津島には12時過ぎに着いた。大畑旅館には2時ごろ着くと言ってあり、あまり早く行くのも悪いので、近くのコンビニでパンを買い、津島の北灘湾に流れ込む岩松川の堤防で昼飯をとった。川では水鳥たちが水中にもぐり魚を採っていた。

▼そうこうしているうちに小雨が降ってきたので旅館に向かった。ご主人は私の早い到着に驚いたが親切に対応をしてくれた。大畑旅館は獅子文六が「てんやわんや」と言う小説をこの宿で書き上げたことで有名だ。宿のご主人に獅子文六が執筆をしていたという部屋を見せていただいた。

玄関のロビーには獅子文六の本が置いてあったので、「大番」と言う小説※を読むことにした。大番はここ津島出身の「ぎゅうちゃん」が株で一旗揚げる話だ。たしかNHKがドラマ化したような気がする。ユーモア溢れる文体に思わず引き込まれてしまった。

今日は急いで津島まで来たにもかかわらず、結局雨が降り始めたのは夕方からで、もう少しのんびりと風景を眺めながら歩けば良かったが、天気は予測できないので仕方ない。逆に由緒ある旅館に泊まり、ゆっくりと読書できたのはありがたかった。

▼夕食はご主人が部屋まで運んでくれた。今日、港であがったという鯛の煮付けはとてもおいしかった。

獅子文六について wikipedia より

戦後に「戦争協力作家」として「追放」の仮指定がされたものの、1ヶ月半後に解除された。1945年12月から1947年までは、愛媛県宇和島市津島町に疎開。この地での体験が、戦後最初の新聞連載小説となった『てんやわんや』、『大番』などの作品に取り入れられた。

▼今日の歩行ルート 民宿磯屋~大畑旅館 24㎞ 

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