四国遍路パート2 第13日目(3月4日)

■お遍路第13日目(3月4日) 晴れ時々曇り

今日は44番、45番の札所を回り、久万高原の外れ三坂峠近くの民宿桃李庵に宿泊することにした。当初は松山まで約40㎞を歩く予定だったが、明日は四国地方は大雨になる予報であり、一晩宿で過ごす間に前線が通り過ぎることを期待して日程を半日ずらすことにした。しかし期待に反して終日雨のようだ。いまさら計画を変えるのも面倒なので、今日は約20数キロをゆっくり景色を楽しみながら歩くことにした。

▼ガーデンタイムを出て久万高原の町を歩くと、ひな祭りで町中がお雛様で飾られていた。子供が成長するとお雛様はお蔵に入ったままになりがちだが、こうしてお雛様を飾るのは良いものだ。

▼久万町の町並みを抜け、44番札所大寶寺に向かって坂を上っていく。今朝の久万町は霧に覆われ、その中に立つお寺はちょっと幻想的だった。

▼大寶寺から標高715mの峠を越え河合という部落に下りると、「土日はお遍路さんの接待をしているのでぜひ寄っていってください。」とお年寄りが声をかけてくれた。住吉神社横の集会所では地元のお年寄りがあんころ餅などを作って親切に振る舞ってくれた。町内の会長さんと思しき方が、地元を活性化させるためにいろいろ工夫しているがなかなかうまくいかないと話をしてくれた。久万町も標高が高く夏は涼しいのでスポーツ合宿施設ができないかと長野県の菅平高原も視察したそうだ。日本全国、山村が抱える問題は同じである。人口が減っていく中、こうしたお接待もなくなっていくのではないかとちょっとさみしく思った。

▼河合の部落から八丁坂を登りきり標高730mの尾根に着くと、木々の間から雪を被った四国の霊峰石鎚山が見えた。次回の四国旅行ではぜひ登りたいものだ。

▼45番の岩屋寺は名前通り、礫岩の壁に寄り添うように作られたお寺だった。お寺の正門は山を下ったところにあり、大師堂、本堂と順に並んでいたのでその順番で納経した。一方車で来る一般の参詣者は、寺の下から階段を上がってきて本堂、大師堂を回るようになっている。どちらの参拝ルートが正しいのか納経所で訪ねると、「山から下って山門に入るルートが正規だから、大師堂から礼拝して良い」とのことで安心した。

▼岩屋寺を下り2㎞ほど歩くと国民宿舎古岩谷荘に着いた。時間に余裕があるのでここで昼食(そば)をとり、今日の宿である桃李庵に向かった。道中には奇岩がそびえたっている。この地域は四国カルスト自然公園の一つだそうで、4500万年前の地層の礫岩が大きな岸壁を作っていた。

▼桃李庵のご主人からは、4㎞手前のスーパーDIYコーナンに着いたら電話をして欲しいと頼まれていたので電話を入れ、さらに明日の大雨を想定して靴がずぶれになっても良いように、特価1280円の軽量スポーツシューズを買い求め宿に向かった。

今日の宿、桃李庵のネットの口コミ情報(遍路仲間)には
ここはお遍路さんが自己資金で建てた純粋お遍路だそうです。ストーブの傍で民宿のマスターに色々なお話を聞かせていただきました。お遍路さん経験者がやっている民宿は数えるほどしかないんです
とあったので、どんな宿か楽しみにしていたが、ご主人は歩き遍路に対して独特の哲学・考えを持っており、夕食の時に以下のような話をしてくれた。

① ただひたすら歩くのではなく、25km程度の歩行距離で余裕をもって歩くこと。そうすれば足にマメも出来ず、またその土地の風土や人に触れることが出来る。
②遍路地図通りに歩かなくて良い。楽で安全な道を使うこと。特に街中は遍路地図を使うとかえって迷う。
③ 滅多に降らない雨のためにゴアテックスの重いカッパを持ち運ばない。傘で十分。
④雨で足がふやけてマメができそうなところには、あらかじめテーピングをしておけばまったく問題ない。
⑤お遍路さんは基本的にお金があり、例えばモンベルの高い雨具や装備を持っているので、ザックを置いておくと盗まれるから注意すること。
等など

特に私は地図のコース通りに歩かねばと思っていたので、②の説明のように自分の好きなルートで良いという話を聞き、呪縛から解放された気分だった。
さらに、ご主人は、「お遍路宿はこれからどんどん減っていく。うちも春の遍路、秋の遍路でなんとか食いつないでいるが経営は赤字である。財務的には遍路以外の客(たとえば工事関係者等)を泊めたいが、”その日暮らしで働く人”と、”余裕と資金があって遍路ができる人”を同じ宿に泊めると、どっちの客も不満になる。それで遍路客のみの宿にしている」と彼のこだわりを説明してくれた。話はもっともなことが多く、ちょっとカルチャーショックも覚えながらその日は床に就いた。

客室にはいろいろな遍路情報が貼ってある

夕食 トマトベースの肉団子は疲れを癒しおいしかった

▼今日の歩行ルート ガデーンタイム(久万高原)~岩屋寺~民宿桃李庵 28㎞ 

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