箱根ツアー(1/21-22)

箱根は、20年ほど前に家族で小涌園に行った以来、一度も訪れたことがなく、お正月の大学箱根駅伝を見ても、選手はどこを走っているのか地理的イメージがわかない。

今週、箱根のホテルに格安で泊まれる機会を得たので、ブラタモリの足跡をたどりながら箱根の全体像を理解することを目的に箱根を旅行をした。

大寒の時期、本来なら箱根は雪に覆われているであろうが、今年は地球温暖化による気候変動のためか春のように暖かく、箱根までの道中は雪もなく順調であった。

箱根地図

<1月21日>

▼長尾峠の露頭
まず御殿場経由で箱根に向かい、箱根の外輪山を取り巻くように走っている県道741号線に向かった。その道沿いにはおおきな露頭があり箱根火山の外輪山の断面を観察することができる。

▼箱根スカイライン展望公園から神山を望む
さらに長尾峠の先の箱根スカイラインからは、箱根の中央火口丘を眺めることができ、神山の山体崩壊で形成された大涌谷や崩壊物によって川がせき止められ出現した芦ノ湖が望めた。

▼箱根スカイライン展望公園からの愛鷹山

<1月22日>

▼強羅
強羅はかつては巨大な岩が広がる荒れ地であったが、明治21年、東京で酒問屋を営んでいた山脇善助氏が、早雲山より温泉を引いて大浴場を建設して、この地を一大温泉郷にするという壮大な計画を立てて工事に着手した。しかし長くは資金が続かず、二年ほどで工事は中止されたが、その後、他の共有者によって工事が受け継がれて、早雲山や大涌谷からの引き湯、旅館の開業、宮城野−強羅−早雲山をつなぐ道路の開通などで温泉郷としての土台が作られ、明治45年の小田原電気鉄道の温泉付別荘地としての土地分譲開発へと続き、今の強羅となっている。(参考:箱根強羅環境協会HP

強羅のケーブルカーは、急こう配の傾斜地に立地する別荘の人たちの移動手段として作られた。このケーブルカーに乗り早雲山まで移動しようと思っていたが、残念ながら昨年の台風19号の豪雨被害で運転休止となっていた。

▼大涌谷
強羅公園の周辺を一回り散策した後、大涌谷へ向かった。
大涌谷は、およそ3,000年前の神山の噴火で山体崩壊してできた噴煙地である。2015年には小さな水蒸気爆発を起こし、箱根の観光客が激減したことは記憶に新しい。現在もあちこちから硫化水素を含む噴煙が激しくあがっており、風向きによっては観望場所にも火山性ガスが流れてきてせき込むくらいである。

名所だけに、平日にも限らず多くの観光客でにぎわっていたが、その7割は中国人などの外人観光客であり驚いた。

▼宮ノ下
大涌谷の名物「黒卵」を食べた後、宮ノ下に向かった。宮ノ下温泉は、室町時代に源泉が発見され、小田原城攻めの際、豊臣秀吉が入ったといわれる太閤風呂が名所になっている。<太閤石風呂>

温泉はナトリウム-塩化物泉で、神山の地下を巡るマグマの溜まりから、塩化ナトリウムなどを含む火山性水蒸気が、 地下の帯水層を流れる「重炭酸塩硫酸塩泉」に混入して生成されるとのこと。

<太閤風呂の下にある太閤の滝の下からは、温泉の水蒸気が上がっている>

▼箱根八里~旧東海道と箱根の関所
宮ノ下から湯本への道は、Rの小さいカーブが続く急坂で、ちょうど杖突峠へ通じるような道であった。箱根駅伝では、この道をアップダウンするのかと思うと、選手の厳しい訓練と努力が偲ばれた。

湯本から旧東海道を登っていくと畑宿がある。この畑宿は江戸時代、不審な旅人を幕府に通報する「関所守り村」としての役割を担っていて、寄木細工が盛んである。今は5件ほどの工房が寄木の伝統を守っている。この畑宿から街道は急な上り坂になるが、山道のぬかるみ対策として石を敷いた古道が残っている。街道は杉に覆われ曲がりくねっており、「箱根八里」の歌詞 「「羊腸の小径・・・・」が実感できた。

▼箱根の関所
関所は芦ノ湖と箱根町断層が作った崖の間に位置し、通行人はこの狭小地を通らねばならないようになっている。
<箱根町断層の上にある見張り台から、関所と芦ノ湖を望む>

▼柿田川湧水
箱根の名所を一覧した後、箱根の関所から三島に下り、最後に柿田川湧水を見学した。

参考サイト:https://izugeopark.org/geosites/kakitagawa/
参考資料(PDF)

柿田川は一日100万トンの水量の湧水を水源に、日本最短の一級河川(1,200m)として知られている。
今から約1万年前の富士山の爆発は大量の溶岩を噴出し、この溶岩は箱根山と愛鷹山にはさまれた狭い谷間を流れて三島まで到達して、「三島溶岩」を形成した。
三島溶岩流は、水を通しやすい多孔質の層で、その下古富士火山の表層は水を通さないため、富士山や御殿場地方に降った雨や雪は地下水となって流下し、三島 市やこの柿田川で地表に「わき水」となって現れている。

富士山周辺に降った雨は、26-28年かけて三島に到達し、湧き水として湧き出しているとのこと。まさに天然の濾過機である。

おまけ:

柿田川公園には桜が咲いていた。今年は春のような陽気が続くので桜の早咲きかと思ったが、冬にも咲く「冬桜」のようだ。

ブラタモリ放映内容のまとめ

参考サイト

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